2019年5月15日に開催された厚生労働省「中央社会保険医療協議会総会」において「CAR-T細胞療法」(販売名:キムリア)の保険適用が了承されました。対象は「小児を含む25歳以下のCD19陽性再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病」「成人のCD19陽性再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」となります。再発又は難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病患者を対象とした国際共同第2相試験において全寛解率(完全寛解又は血球数回復が不十分な完全寛解)は82.0%、再発又は難治性の成人びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者を対象とした国際共同第2相試験において奏効率(完全奏効又は部分奏効)は58.8%でした。今回対象となる血液がんの患者さんは従来の化学療法や造血幹細胞移植等では治癒が期待し難く、対象となる患者さんにとっては大きな朗報です。

一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパンも、リンパ腫の全国患者団体として、NHK、テレビ朝日、フジテレビなどの取材に協力いたしました。また、CAR-T療法の国内での治験に参加した、ネクサス会員でもある女性にも取材にご協力いただきました。化学療法や大量化学療法を併用した自家末梢血幹細胞移植を受けた後に2回目の再発をして、2016年に国内でのCAR-T療法の治験に参加されました。治験での1回の投与により完全寛解となり、その後仕事にも復帰され、現在はネクサス北海道支部のボランティアのお一人としても、患者や家族の皆様のために活動いただいてます。1回の投与で、場合によっては完全寛解や治癒が期待できる治療治療ですが、一方で「サイトカイン放出症候群」などの重篤な副作用もあり、副作用への対処のために集中治療室での治療が必要となる場合もある治療でもあることから、当初は国内の数施設での治療が可能となる見込みです。また、算定薬価は33,493,407円であり、保険適用がなければ使うことが困難な治療です。CAR-T細胞療法開発と薬事承認並びに保険適用にご尽力いただいた皆さまに、改めて御礼申し上げます。

NHKニュース「白血病新薬を保険適用 1回当たりの価格は約3350万円」(2019年5月15日)

▲NHKニュース「白血病新薬を保険適用 1回当たりの価格は約3350万円」(2019年5月15日)