グループ・ネクサス・ジャパンと北日本血液研究会(NJHSG)が主催し、北海道、札幌市、札幌市医師会、市民と共に創るホスピスケアの会、市民のためのがん治療の会が後援する、グループ・ネクサス・ジャパンリンパ腫医療セミナー(北海道)が、2014年6月14日(土)に北海道大学にて開催されましたので、ご報告いたします。

北海道大学クラーク像

▲北海道大学クラーク像

前日の雨も開催当日には上がり、ネクサス役員や北海道支部ボランティア、医療関係者などの皆さまとともに、およそ170名の皆さまにご出席いただきました。

グループ・ネクサス・ジャパンリンパ腫医療セミナー(北海道)の様子

▲グループ・ネクサス・ジャパンリンパ腫医療セミナー(北海道)の様子

豊嶋崇徳先生(北海道大学大学院医学研究科血液内科教授)にはご挨拶をいただき、リンパ腫における治療の変遷、北海道大学などが参加する新規治療薬の臨床試験に関する最近の進捗について、解説をしていただきました。

豊嶋崇徳先生(北海道大学大学院医学研究科血液内科教授)

▲豊嶋崇徳先生(北海道大学大学院医学研究科血液内科教授)

竹村龍先生(北海道大学病院血液内科)には「リンパ腫ってどんな病気?」との演題にて、血液細胞(血球)のはたらき、リンパ腫の病状や診断、病理分類や病態などについて、ご講演いただきました。

竹村龍先生(北海道大学病院血液内科)

▲竹村龍先生(北海道大学病院血液内科)

小野澤真弘先生(北海道大学病院血液内科)には「リンパ腫の治療法について」との演題にて、診断の検査や予後予測、化学療法や放射線療法、支持療法の概説、病理分類ごとの標準治療、リンパ腫に対する抗体療法や分子標的療法などについて、ご講演をいただきました。

小野澤真弘先生(北海道大学病院血液内科)

▲小野澤真弘先生(北海道大学病院血液内科)

杉田純一先生(北海道大学病院血液内科)には「再発・再々発時の治療法について」との演題にて、代表的なサルベージ療法(救援化学療法)、造血幹細胞移植(自家移植と同種移植)、造血幹細胞移植の適応などについて、ご講演をいただきました。

杉田純一先生(北海道大学病院血液内科)

▲杉田純一先生(北海道大学病院血液内科)

半澤江衣先生(北海道大学病院がん看護専門看護師)には「がん患者と家族への心のケア」との演題にて、がんサバイバーシップ、がん患者さんやご家族の心のケア、がんのチーム医療と専門・認定看護師などについて、ご講演をいただきました。

半澤江衣先生(北海道大学病院がん看護専門看護師)

▲半澤江衣先生(北海道大学病院がん看護専門看護師)

質疑応答では、高齢のリンパ腫患者さんに対する治療方針、妊娠しているリンパ腫の女性患者さんの治療と再発、リツキシマブ投与後のB型肝炎ウイルス再活性化、血液検査値の解釈、濾胞性リンパ腫に対する無治療経過観察、再発の不安など、多くのご質問をいただきました。

北海道大学学術交流会館小講堂

▲北海道大学学術交流会館小講堂

今回のセミナーについては、北海道新聞にて事前に記事を掲載していただき、北海道や各地の医療機関でもチラシの掲示や配布などの広報をご協力いただいたこともあり、多くの患者さんやご家族の皆さまにご来場いただきました。開催にあたり、ご講演や会場提供で多大なるご支援をいただいた北日本血液研究会(NJHSG)および北海道大学の皆さま、患者さんやご家族という立場で当日お手伝いいただいた北海道支部ボランティアの皆さま、配布資料の印刷や当日のお手伝いをいただいた企業の皆さまに、この場をお借りまして厚く御礼申し上げます。

以下、出席された方のアンケートの一部を紹介します。

・昨年に続き、治療最前線のお話を医師から直接上手に説明していただき、とても充実したセミナーでした。ありがとうございました。再発におびえる人も多いので、定期的に集まるこの機会は精神的にもありがたいです。お忙しい中、一般市民にもこのような場を作っていただいた豊嶋教授以下の北大の医師達、ネクサスのスタッフの皆さんに感謝です。
(北海道・患者家族・女性)

・リンパ腫には多くの型があり、それぞれに治療法も違うのですが、共通の情報も多くて、全体的なお話がくわしく聞けて参考になりました。同じ病気で頑張っている方がたくさんいらっしゃるんだということが実感できて、力になりました。先生方のお話も直接聞けて、お顔も拝見して、頼もしく感じました。ありがとうございました。
(北海道・患者家族・50代女性)

・主人が悪性リンパ腫の診断を受け、入院治療しています。今日の諸先生方のご説明がとてもわかりやすく(お話、大変上手です)、帰って主人に説明できるのではと思っています。参加して良かったです。ありがとうございました。心のケア、がんばります。
(患者家族・60代女性)

・悪性リンパ腫の発見、診断から治療(R-CHOP療法)スタートまで1週間。治療が始まって、10日間が過ぎました。まだ病気に対しての基礎知識がなかったので、竹村先生と小野澤先生のお話はとても分かりやすく、よかったです。
(北海道・患者家族・女性)

・自分は悪性リンパ腫で、平成24年に入院して、R-CHOP療法を6回で完了し、平成25年に再入院してBR療法(ベンダムスチンとリツキシマブ)を6回受けました。入院中に先生の説明を聞いていましたが、今回の講演にて内容を聞けて、よく理解できました。現在、2ヶ月ごとの外来です。
(北海道・患者本人・70代男性)

・家族3人で参加させていただきました。昨年6月のセミナーに続き2回目です。昨年自家移植をしています。今は検査継続中です。このような機会に先生方のお話を今後もお願いします。再発等の心配は、今後もあると思います。
(北海道・患者・50代)

・大変勉強になりました。濾胞性リンパ腫の再発で、希望を失いかけていましたが、新薬が出ていることに望みが出てきました。質疑も先生方がていねいに答えてくださり、よくわかりました。ありがとうございました。
(患者家族・50代女性)

・再発時も含めて治療方法、治療薬が年々進化していることがわかり、元気づけられた。また、日常生活の中で自分自身ががん患者であることを忘れることが多くなっているが、定期的にこのようなセミナーに参加し、最新情報の収集、再発に対する心構えをもつことが大切だと再認識した。良いセミナーを企画していただき、ありがとうございます。
(北海道・患者・40代男性)

・非常にむずかしい病気で、宿命、運命を感じます。人間の一生ですので、精一杯生きなければなりません。医学の進歩と比例して病気の種類も多く、また精神的にも苦難の伴う事項が多くなっております。医学の進歩がこれらの病をカバーできる時代が来ることを願っております。先日、ノーベル賞受賞者の鈴木章氏について、研究者としての生活を中心に勉強しましたが、研究にも幸不運が関係していることが理解出来ました。
(患者家族・70代)

・講義はとてもわかりやすく勉強になりました。医療者としては、リンパ腫の患者さんの気持ちや退院後の経過のイメージが難しかったですが、今回たくさんの方がリンパ腫セミナーに来ていて、退院した後も元気に過ごされていることがわかって良かったです。ただ、特殊な疾患で入院生活も長くなる患者さんとの関わりの中では、怒りをぶつけられる場面もあり、しばしば患者さんとの距離感の難しさを感じることがあります。リンパ腫の方との関わり方の具体的な方法など、セミナーで開いていただけたらと思います。
(医療関係者・30代女性)