既に本日大きく報道され、ご存知の皆様も多いことと存じますが、松方弘樹さんが脳のリンパ腫にて逝去されました。突然の訃報に、謹んでお悔やみ申し上げます。
リンパ腫は白血病などと同じ血液のがんであり、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植(骨髄移植)などの治療が行なわれます。2016年7月に国立がん研究センターがん対策情報センターより発表された「2016年のがん罹患数、死亡数予測」によりますと、リンパ腫の国内予測罹患数(2016年)は男性17,600人、女性13,600人、男女計で31,200人とそれぞれ増加傾向にあると予測されており、男性の国内部位別予測罹患数で9位、女性で8位、男女計で8位の予測罹患数とされています。
>>2016年のがん罹患数、死亡数予測(国立がん研究センターがん対策情報センター)
中枢神経系(脳、脊髄、眼球)に発症するリンパ腫は、中枢神経系から発生(原発)した場合と、他のリンパ節で発生したリンパ腫が中枢神経系に転移した場合とに分けることが出来ますが、前者を中枢神経系原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma, PCNSL)といい、脳を原発とするリンパ腫もこれに含まれます。リンパ腫の病理分類は50種類以上に分類され、それぞれで病態や治療が異なります。中枢神経系原発悪性リンパ腫の多くは、病理分類ではびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)と診断されます。
脳は血液脳関門に守られているため、通常の化学療法では薬が到達しないと考えられています。そのため、メトトレキサート(販売名:メソトレキセート)などの化学療法に、放射線療法を併用する治療などが行われていますが、治療の有効性と副作用(特に治療に伴う晩期障害)の軽減を目指した研究が行われ、治療成績が向上しています。病態や治療に関してより詳しい情報は、下記リンク先をご参照ください。
グループ・ネクサス・ジャパンの会員の皆さまをはじめ、今この瞬間も多くの患者さんやそのご家族の皆さまが、リンパ腫と向き合われています。そのお一人お一人のご闘病が、少しでも良い方向に向かうよう、改めて祈念申し上げますとともに、社会の皆さまのご理解とご支援をお願い申し上げます。また、松方弘樹さまをはじめ、リンパ腫と向き合い、旅立たれた皆さまのご冥福をお祈り申し上げます。
>>Yahoo!Japanニュースによる報道(2017年1月23日掲載)
【脳のリンパ腫に関する関連リンク】
>>中枢神経系原発悪性リンパ腫(東京大学医科学研究所附属病院脳腫瘍外科)